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2017.01.04 Wednesday

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    10 主の降誕

    2014.12.24 Wednesday

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      カタリナ・エンメリック『聖家族を幻に見て』光明社刊より
       10 主の降誕

       ヨゼフは町から衣類や干した果物を持ってきた。かれがもどって来た時、マリアはわたしの時が今夜に近づいていると言った。そしてヨゼフに、宿を貸そうとしなかった薄情な人々のため一緒に祈ってくれるよう頼んだ。ヨゼフは町に行って二、三人の女の人を頼んでこようと言ったが、マリアはそれを断り、出産の手助けは一人もいらないからと答えた。それでかれはマリアを残し、自分の寝場所へ行った。
       かれは自分の場所にいく前にもう一度ふり返った。マリアは寝場所にひざまずき、顔を東の方に向けて祈っていた。かれは洞穴が光に溢れるのを見た。マリアはまったく焔に包まれているようであった。それはあたかもモーセが燃えさかる茨の薮の中をのぞき見た時のようであった。かれは祈りながら顔をおおってひれふし、もはやふりむこうとはしなかった。
       マリアの周囲の輝きはますます増していき、ヨゼフが取りつけた灯は消えたようになった。マリアのゆるやかな白い衣は地上に延びひろがっていた。十二時頃マリアは祈りの内に脱魂状態となり、体が地面から引き上げられ、体の下の地面が見えてきた。周囲の光がいよいよ輝きを増した時マリアは幼児イエズスを産んだ。マリアの膝の前の敷物に置かれたその幼児の輝きは他のすべての光にまさっていた。
       マリアはなおしばらく脱魂状態であった。かの女は幼児の上に布をかけたが、手では触れなかった。しばらくたつと幼児は動きだし泣き始めた。マリアはやっとわれにかえり、幼児を胸に抱き取り布で包み、全身をベールでおおって坐っていた。天使達がその周囲を取り巻いて、伏し拝んでいた。
       マリアがなお祈りつづけるヨゼフを呼んだのは、出産が終わって一時間たった後であったろう。ヨゼフはマリアに近づくと、祈る心が外にあふれて喜びと尊敬のあまり膝をかがめた。マリアは天よりのとうとい贈物をよくながめるようにと言った。ヨゼフは幼児を自分の腕に抱き取った。
       それからマリアは幼児イエズスを小さな腕の下までくるんで、秣槽(まぐさぶね)の中に置いた。
       マリアはこの秣槽に蘆やほかの柔らかい草をいっぱい入れ、その上に敷物をひろげた。マリアが幼児を秣槽にやすませると、二人は涙のうちに讃美歌を唱えてその側に立った。
       マリアは少しも病人らしくなく、また疲れてもいないようだった。かの女は出産の前後とも白衣を着ていた。
       わたしはこの夜不思議な喜びを多くの土地に、遠く離れた土地にさえも見た。多くの善意の人にとっては憧れが喜びのうちに満たされた、一方悪意の人は不安に駆られていた。またたくさんの動物がうれしそうに飛び廻り、多くの泉が湧き出で、各地に花が咲き、草や木がかぐわしい香をただよわせていた。地元ベトレへムでは空がどんより曇り、陰うつな赤い光がただよっていたが、羊飼達の谷や秣槽のまわりにはさわやかな輝く靄が立ちのぼっていた。

      6 神のお告げ 『聖家族を幻に見て』

      2013.12.23 Monday

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        光明社発刊 カタリナ・エンメリックによる『聖家族を幻に見て』より
         
        6 神のお告げ

         わたしは神のお告げの祝日にちょうど神のお告げの視幻を見た。それはマリアが結婚して間もないころで、彼女はナザレトの家にいたが、ヨゼフは不在であった。かれは自分の荷物を取りに二頭のろばを曳いてチベリアデに向かっていた。
         家にはアンナとその婢、それにマリアと一緒にいた二人の乙女がいた。アンナは新しい家具を備えつけていた。
         夕方になると一同は低い丸いテーブルを囲み、立ったまま祈ってから野菜を食べた。アンナは長い間家の中であちらこちら働いていたが、マリアは階段を上って自分の部屋に帰った。そして長い白い羊毛の祈祷服を来て帯をしめ、黄がかった白いベールを頭にかけた。
         すると召使が入ってきて腕の多いランプに灯を入れて出ていった。マリアは低い机を壁の傍らからもってきて部屋の真中においた。その上に小さな丸いひじ当てをおき、手を机に支えながら、寝所に背中を向けてひざまずいた。部屋の扉は右側にあり、床の上にはじゅうたんが敷いてあった。マリアはベールを顔の前に垂れ胸の上に手を組んだ。
         かの女はこうして長い間非常に熱心に祈っていた。救世の約束の王について祈り、その来臨に際して幾分かかかわり合いを持つことを願って、天を仰ぎ、われを忘れて長い間ひざまずいていた。それから頭を胸にたれてさらに祈った。
         マリアがふと自分の右の方を見た時、そこにブロンド色の髪をなびかせた光輝くひとりの青年を認めた。それは大天使ガブリエルであった。その足は地についていなかった。天使は光と輝きに充ち満ちて上の方からマリアの方へ降ってきた。建物は隅々まで光にあふれ、ランプはまったくうす暗くまばたくばかりであった。天使は話しかけた。マリアは答えたが顔をあげなかった。天使がふたたび語ると、マリアは天使から命じられたように、ベールを上げて天使を見た。そして言った。「わたしは主の婢です。あなたの仰せのようにわたしになりますように。」
         その時マリアは深い脱魂状態にあった。居間の天井はもはや見えなかった。
        家の上には光雲が漂い、一条の光線が開けた天まで伸びていた。この光の源に至聖三位の姿があった。マリアが「仰せのようにわたしになりますように。」と言った時、翼に蔽われ、人の容貌をもった聖霊の姿が現れた。そしてその胸と手から三本の光線が流れ出てマリアに降り、かの女の胎内で一つになった。その瞬間マリアはまったく透明に輝き、不透明なものは、夜がこの光の奔流の前から遠のいていったかのようになった。
         天使が光と共に消え去ってのち、天からの光の中から、緑の葉のついた無数の白いばらの蕾がマリアの上に降り注いだ。マリアはまったく自己のうちに没入し、人となった神の御子を、自分自身のうちに小さな人間の光の形で見つめていた。
         この神秘が起こったのは真夜中頃であった。
         しばらくしてからアンナと他の婦人達が入ってきたが、マリアがわれを忘れた脱魂状態にあるのを見てまた出ていった。
         この女は立ち上がり、壁の方の小さな祭壇の前に行き、そこでしばらく祈り、明け方になってやっと横になって休んだ。マリアはちょうど十四才を少しこえたぐらいであった。マリアは救い主を宿した事を知った。また救い主はその国の人々の王となるが、その王国はこの世のものではなく、人類救済のために苦しみかつ死ななければならないという事も知った。
         アンナは特別の恵みによってこの事を心の内にマリアと分かちあっていた。
         エルサレムでは婦人は神殿に入れないがナザレトではいまは違う。かの女自身が神殿であり、至聖なる神がその中に住まわれたのである。

        5 マリアの結婚 『聖家族を幻に見て』

        2013.12.23 Monday

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          光明社発刊 カタリナ・エンメリックによる『聖家族を幻に見て』より

          5 マリアの結婚

           ヨゼフは六人兄弟中の三番目であった。その両親はベトレへムでダビドの生まれた大きな家に住んでいたが、以前から残っているのはおもな壁ぐらいであった。
           ヨゼフの父はヤコブと言った。少年のヨゼフはその時八才ぐらいであった。かれはほかの兄弟達とはまったく違っていて、頭がよく物覚えも早かったが、単純で静かで敬虔であ野心らしいものは持っていなかった。ほかの兄弟達はかれにいろいろな悪戯をして、どこでもよく突き倒した。
           かれらは薮や灌木や果樹の生えている仕切られたそれぞれの小さな庭を持っていたが、兄弟達はヨゼフの小屋で時々こっそり草花を踏みにじったり抜いたりした。またヨゼフをいつもあなどっていたが、ヨゼフはじっとこらえていた。
           ヨゼフが廻廊で壁に向かってひざまずいて祈っていると、かれらはヨゼフを突き倒した。ある時かれがこうして祈っていると、ひとりの兄弟がヨゼフの背中を蹴ったが、ヨゼフがそれに気付かずにいた。その兄弟はヨゼフが倒れるまで繰りかえし蹴ったので、わたしはヨゼフが神に心を奪われていたのだと知った。しかしヨゼフは仕返しもせず穏やかに別の所に行き、静かな場所を探すのだった。
           両親はヨゼフの様子をほんとうは満足しなかった。かれが才能にふさわしい世間の仕事を身につける準備をするよう望んでいたが、ヨゼフには少しもそんな様子がみられなかった。
           かれは十二才ぐらいになると、後程キリスト誕生の場となったベトレへムの厩の洞穴とは反対側にある洞穴に、人に知られない祈祷所を持っているたいへん敬虔な何人かの老婦人たちとたびたび一緒にいるようになった。かれは時折りここに来て老婦人達と一緒に祈った。その近くに一人の大工がいたが、ヨゼフはその手伝いにいき、また仕事を教えてもらい、こうして大工職がかれの身についていった。
           兄弟達の憎しみが非常につのってきたので、ヨゼフは十八才の頃遂に夜中に家出をしてしまった。ベトレへムの一人の友人がかれの逃亡を助け、別の衣類を持って来てくれた。
           その後ヨゼフはリボナにいた。かれは一軒の非常に貧しい家庭で生活のために働いていた。そこの人達はむしろを付けた仕切りを作っていた。ヨゼフはこの人達にいろいろ手助けをして、木を集め束にして運ぶ仕事をしていた。
           両親はかれがさらわれたのだろうと思い込んでいたが、兄弟達がかれを探し出したので、ヨゼフは両親とうまくいかなくなった。かれはこの貧しい家庭に留まり、ヨゼフの兄弟達が恥じていた卑しい仕事をつづけた。
           その後ヨゼフは別の所に移った。そこは裕福な家庭で、ヨゼフは前よりもよい仕事をしていた。かれはいつも敬虔でまた謙遜であった。
           ヨゼフはだれからも愛され、大事にされた。最後にかれはチベリアデに住むある人の所で働いて、水辺の家に一人で住んでいた。
           その間に両親はとっくに死去し兄弟は四散してしまい、二人の兄弟だけはまだベトレへムに残っていたが、父の家は人手に渡り、全家族は急速に没落していった。
           ヨゼフは救い主の来臨を熱心に祈っていた。その時一位の天使が現れて、かつての太祖ヨゼフが、当時エジプトにおいて神のみ旨により穀倉の管理者となったように、今やあなたにもまた救世の穀倉が委ねられることになっていると告げた。しかしヨゼフはその事を持ち前の謙遜から少しも理解できず祈りつづけるのであった。そうこうするうちに急にかれはマリアと結婚するためにエルサレムに呼ばれて行った。
           結婚のため神殿から出なければならなかった乙女達はマリアの他にまだ七人いた。
          アンナはこの折にエルサレムのマリアの所に行った。マリアは神殿を去る事を望まなかったが、みなはマリアに結婚するようにと言い聞かせた。
           一人のもはや歩く事のできない身分の高い老司祭に聖所の前に来てもらって燔祭が捧げられた。その司祭が聖書の前に坐って祈っていると、示現のうちにその手が「イェッセの根から出た一本の枝が花を開く」と書いてあるイザヤ書の預言の箇所に置かれた。そののちダビド家の者で未婚の男性がことごとく神殿に呼ばれた。たいていの者は立派な着物を着て、マリアに紹介された。その中にはいつも救い主の来臨に自分もひと役加わる恵みを熱烈に祈っているベトレへム出身のたいへん敬虔な一人の青年がいた。かれはマリアと結婚したいという非常に大きな望みをいだいていた。しかしマリアは泣いていてだれも望まなかったので、司祭長は一同に枝を与え、祈りと生贄を捧げる間めいめいの手に持たせた。次いで全部の枝が神殿の聖所に置かれ、それに花の咲いたものがマリアの夫になる事になった。
           かの若者はその間神殿の一室に入り、両手を拡げ声をあげて神に祈っていたが、かれの枝も他の者のように花が咲かなかったので激しく泣いた。
           若者達はその後神殿を去ったが、この若者はカルメル山に行き、そこで救い主を待ちつつ祈りの日を送った。
           司祭達はダビドの子孫でまだ呼び出し洩れの者がいないか、さらにあらゆる記録の巻物を調べた。するとベトレへムの六人兄弟が記載されていて、その中の一人が行方不明になっている事がわかったので、さらに調査すると、ヨゼフがサマリアのある所で小さな流れの辺りに住み、そこである主人の下で大工仕事をしている事がわかった。かれに神殿へ出頭するようにとの知らせがもたらされ、ヨゼフもまた一番よい着物を着てきた。
           かれにも枝が渡されたが、それを祭壇の上に置こうとすると百合のような白い花が咲き開いた。そして聖霊のような光がかれの上に降った。人々はヨゼフをマリアの所につれて行くと、マリアはかれを夫として受け入れた。
           結婚式はエルサレムのシオン山の、いつもそんな式が挙げられる一軒の家で行われた。祝いは七日か八日間続いた。神殿につとめていた婦人達やマリアの遊び友達だった乙女達もそろってきたし、またヨアキムやアンナの親戚も大勢来た。
           マリアは、高く黒く細い眉、秀でたひたい、黒い長いまつげのあるうつむき加減の大きな目、美しい筋の通ったやや高い鼻、非常に上品な愛らしい口許、程よい身丈でその歩みはまことに軽くしとやかで、真面目であった。
           結婚後ヨゼフは用事のためベトレへムにもどり、そのときマリアは十二人あるいは十三人の婦人達や乙女達と共にナザレトのアンナの家へ帰った。皆は歩いていった。
           ヨゼフもそこに加わって、アンナの家で祝いが開かれ、いつもの家人の外に六人ばかりの客と四、五人の子供が招かれた。
           ヨゼフとマリアはその後ナザレトの自分の家に移った。ヨゼフは家の表側の台所の前に三角形の離れの部屋を持っていた。二人とも非常に物静かで、いつも祈っていた。ある時、アンナはナザレトへ行く用意をして、マリアに持っていく包みを抱え、平地を過ぎ灌木林を抜けてナザレトに向かった。それからマリアは別れの時がくるとたいへん泣き、少しばかりの道をアンナを見送って行った。
           マリアは糸を紡いだり、縫いものをしていたが、その縫い目はあらかった。着物はあまり縫い目がなく幅もののままであった。また刺繍をしたり、白い短い棒で編み物をしたり織り物をしたりした。
           マリアはたいへんあっさりと煮たきをし、そのあいだパンを灰のなかで焼いた。二人は羊の乳を飲み肉も食べたが、たいていは鳩だけだった。
           ナザレトの家は門からはあまり離れていなかった。前には小庭があり、近所に井戸があり、そこへは三つ程の段を下りていかなければならなかった。その家は丘に建てられていたが、丘の中に掘り込んで建てられたではなかった。家の後ろの方には丘を掘り割りにして作った狭い道があった。上の方には小さな木枠をはめた窓が丘の方に開いていた。家の後ろの部分は三角形で、前の部屋よりも高まっていた。その土台は岩に切り込み、上の方は簡単な壁でできていた。後ろの部屋にマリアの寝室があり、ここで神のお告げが行われたのである。
           この後ろの部屋は家の他の部分とは炉で仕切られていた。屋根は尖らず高くなく、その周囲はずっと平になっていたので、へりを歩く事ができた。上の方は平面で、煙り穴と、小さな被いの付いた筒があった。