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    44 ベトレへムへの旅 つづき

    2013.06.17 Monday

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      「その状態の女にとっては長い旅だね。あなたの妻か」
      「そうです」
      「泊まるところは?」
      「決まっていません」
      「ああ それはいけない! 名前を届けるためにやって来た人々でベトレへムはあふれている。宿が見つかるかどうか…ここらへんをよく知っているのか?」
      「たいして…」
      「じゃあ、私が教えてあげよう、彼女のために」と、マリアを見ながら言う。「まず、宿屋を探しなさい。人で一杯だろうが、そこらで一番広い広場に面した所です。この街道からまっすぐ行けば、まちがうことはない―その宿屋の前に噴水があるが―大きな門のある広くて低い家です。満員で宿屋や他の家にも場所が見つからなかったら、宿屋の裏の畑の方に回りなさい。山の方に小さな小屋がある。エルサレムへ行く商人たちは、宿屋が満員で見つからないと、よくそこへ動物を入れる。まあ、ドアもない湿っぽい小屋にすぎないが、それでも避難所となろう。女連れでは…道ばたで野宿もできまい。そこなら多分、寝るために、また、ろばのための枯れ草も見つかるだろう。神様がお二人とともにおられるように」
      「神は、あなたに喜びを与えますよう…」とマリアは答える。
      「平和が、あなたとともに」とヨゼフが言う。
      旅を続け、小さな峠を越えると、前の方に、もっと広い盆地が広がる。その盆地を取り囲む斜面には、上の方にも下の方にも、多くの家が見える。ベトレへムである。
      「ダヴィドの地に着いたのですよ、マリア。やっと休むことができるでしょう。とても疲れているようだね…」
      「いいえ、ただ考えていたことが…」マリアはヨゼフの手をつかまえて、幸せなほほえみを浮かべて言う。
      「時期が来たようです…」
      「え? あわれみの神よ、どうしよう…」
      「恐れないで、ヨゼフ。ごらんなさい、私は何の心配もしていないでしょう?」
      「しかし、苦しいでしょう…」
      「おお、そうではありません。私は喜びにあふれています。どれほどの喜びか。心は強く動悸して、私に『生まれる! 彼が生まれる!』と繰り返しています。私の心を叩いている私の子供が『お母さん、私は、神の接吻をあなたに与えるために来る』と言っています。おお、私のヨゼフ、何という喜び!」
      しかし、ヨゼフは喜んでばかりはいられない。何とか避難所を見つけることが緊急である。歩みを早め、ドアからドアへ宿を頼むが空いた場所がなく、断られる。宿屋に着く。ここも満員で、
      中の大きな庭をとり囲んでいる素朴な回廊の下でさえも、休んでいる人々で一杯である。ヨゼフは庭の中に、小ろばに乗ったままのマリアを残して、他の家々を探しに行く。やがて、がっかりして戻る。どこにも場所がない。冬の早いたそがれが迫っている。ヨゼフは宿主にこいねがい、旅人たちに頼む。彼らは男で、健康であり、ここにはもう産気づいている女がいる…。同情してくれるように頼むがむだである。一人の金持ちのファリサイ人が、二人をあらわな軽蔑の目で見下し、マリアが近づくと、癩病人が来たかのように退く。* ヨゼフは、それを見て憤慨で真っ赤になるが、マリアは、なだめようとしてヨゼフの手首をつかんで言う。
      「強いて頼まないで、行きましょう。神様が計らってくださるでしょう」
      外に出て、宿屋の塀に沿って、この塀と貧しい家の間に引っこんでいる小道を曲がる。宿屋の裏に回って探す。

      *レビ記12・2。

      あかし書房 フェデリコ・バルバロ訳 マリア・ワルトルタ『聖母マリアの詩』上より

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