スポンサーサイト

2017.01.04 Wednesday

0

    一定期間更新がないため広告を表示しています

    16 エジプトにて

    2015.12.28 Monday

    0
      カタリナ・エンメリック『聖家族を幻に見て』光明社刊より

      16 エジプトにて

       ヘリオポリスの途上で聖家族は、昨夜宿を貸してくれた善良な人に案内をしてもらった。一行はナイルの広い流れに架けられた非常に長くて高い橋を渡り、町の城門の前の広場に着いた。そこには柱の台座の上に牛の頭をした大きな偶像が立っていた。程遠からぬ所の高く聳えた木の下で聖家族は腰を下ろして休んだ。するとにわかに地震が起こり、その偶像を傾き倒してしまった。たちまち混乱と叫び声が民衆の間に起こり、近くの運河で働いていた人夫達が走り寄って来た。聖家族をここまで案内して来たあの善良な人はさらに一行を町へ案内した。すると町の神殿の偶像もまた転がり落ちてしまった。
       聖家族は低い柱廊の下に寝起きする場所を定めたが、そこにはほかにも既に住んでいる者がいた。向かいは中庭の二つついた偶像の神殿であった。ヨゼフは自分たちの住居のまわりで働いた。
       ヘリオポリスの北のゴーセンという小さな土地に大勢のユダヤ人が住んでいた。もちろん、その人達の礼拝も粗雑なものになっていた。そこに数人の者は聖家族と知り合いになり、マリアはその人達のためにいろいろな女仕事をして、パンやほかの食料を得た。しかし決してぜいたくなものや装飾品などの仕事は引き受けなかった。流行や虚栄を好む婦人たちが仕事を持って来た時、謝礼の金が差し当たってほしくても、マリアは仕事を受け取らなかった。するとかの女達はマリアに失礼な悪口を言った。
       自分の住居から程遠からぬ所にヨゼフは礼拝堂を建てた。すると今までそうしたものを持っていなかった近所のユダヤ人達は祈るために集まることができるようになった。
       しかし聖家族はエジプト人からいろいろと苦しめられた。偶像の転落事件で憎まれ、また迫害されたからである。
       天使の知らせによりマリアはベトレへム地方における幼児達の虐殺を知った。マリアとヨゼフは非常に悲しみ、既によちよち歩きをはじめ、今は一才半程になっていたイエズスは終日泣いていた。
       聖家族は間もなく僅かながらもその生活にゆとりができた。小机、低い椅子、またととのったパン窯を持つようになった。マリアはイエズスの寝台の隣りに寝たが、マリアは時々イエズすの前にひざまずいて祈っていた。
       ヨゼフは別の部屋で寝た。
       わたしはまた少年イエズスが始めて母のために井戸から水を汲んできたのを見た。マリアが祈っている間イエズスは革袋を持って忍び足で井戸端へ出て行った。マリアはイエズスがもどって来たのを見ると、言いつくせぬ程に感動したが、井戸に落ちると危ないから決して今後はしてはならないといましめた。イエズスはきっと気をつけるから、どうぞこれからもそうさせてくださいと答えた。
       ヨゼフはあまり離れていない所で働いていたが、何か道具を置き忘れてきたときは、少年イエズスがそれを持ってきた。イエズスはいろいろな事に気をくばっていたのである。
       わたしは、両親がイエズスと共に味わった喜びは、一切の困難を越えてなお余りあったと思う。イエズスはまったく子供らしかったが、しかし書き表し得ぬ程賢明でまた行いが正しかった。イエズスは一切を知り、そして理解していた。マリアとヨゼフはその事について時々非常に感動していた。
       少年イエズスは母の編んだ敷物を届けに行く途中で、よくいじめられたり、侮辱されたりした。しかし後になって聖家族は非常に愛されるようになった。他の子供達はイエズスに、いちじくやなつめ椰子の実をわけ、また多くの人々が聖家族の許へ慰めや助けを求めにきた。
       少年イエズスはいろいろな注文の品を届けて、ときには一マイルも離れたユダヤ人住居地までも行った。そこでイエズスは母の仕事の報酬としてパンをもらった。多くのいやな動物は少年イエズスに害を加えなかったばかりか、蛇までもまったくなついていた。ある時、他の子供達と一緒にユダヤ人住居地へ行った時、イエズスはユダヤ人の堕落について非常に歎(なげ)いた事があった。イエズスはマリアの作った褐色の着物を着ていた。 

      スポンサーサイト

      2017.01.04 Wednesday

      0