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2017.01.04 Wednesday

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    34 イエズスはエルサレムへ戻る。

    2016.01.07 Thursday

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      34 イエズスはエルサレムへ戻る。ケリオットのユダが神殿で話す。ゲッセマニにて

       イエズスは熱心者のシモンとエルサレムにいる。道に行商の人たちと小ろばの行列が続くところへ割って入って、イエズスが声をかける。
      「ゲット・サンミへ行く前に神殿へ行きます。その神殿で父に祈るために」
      「先生、それだけ?」
      「それだけ。ここエルサレムでは泊まれません。明朝、魚門で集まりがあるので、他の羊飼いたちにも会いたい。この人たちは全パレスティナの方々へ散らばっており、羊たちを集めて、その群れの主人である私の名前を知らせ、私のもとへ来させるために」
      「あなたのような主人を持つことは何と甘美なことか。羊たちはあなたを愛するに違いない」
      「羊たちはそうですが、雄山羊はそうでもない…ヨナに会ってからナザレトへ行き、それから、カファルナウムへ。シモン・ペトロと他の弟子たちは、私がこんなに長く留守をしているので苦しんでいると思います。弟子たちと私自身の喜びのために行きます。夏だし、そうした方がいいと思います。夜は休むためのものだから、眠りを犠牲にしてまで真理のことばを聞こうとする人は、ほとんどいない。
       人間…おお、人間というものば! あまりにも自分の霊魂を忘れ、肉体のことだけを心配し、気にしています。
       昼は太陽が焦がすので、道や広場での伝道はできないから、私の弟子たちに教えに行きます。緑が涼しく、水が冷たい私の優しいガリラヤ。おまえはそこへ行ったことがありますか」
      「いつか、医者から医者へと巡礼をしていた時代、冬でしたが、そこを通って気に入りました」
      「おお、美しい国です! いつでも。冬もそうだし、他の季節ならなおさら。いま、夏の夜は天使の夜と名づけたいほど清く、天使のように心地良いものです。山に囲まれた湖は、神を探す人々に神のことを話すためにわざわざあつらえたように見えるほどです。それは緑の中に落とされた青空の断片です。岸辺までオリーブの木がなだらかに続き、ナイチンゲールの鳴き声に満ちています。この小鳥たちも、これほど優しく静かなところに生かしてくれている創造主に賛美を歌っている感じです。
       そして、わがナザレト! 太陽の真っ白い接吻に、緑にあふれた笑顔を見せるかのように、大ヘルモンと小ヘルモンの山々の間に広がり、遠くにはタボル山が見え、頂上が明るい日射しに包まれるときはバラ色のアラバスターとなり、その反対側のカルメル山に太陽があるときは青い宝石のように輝き、また大理石と水の脈のように森や草原はさまざまの色の中で微妙なアメジスト色が目立ち、夕方には紫から水色へと変わるエメラルドのようである。南側に下っていくエスデレロンの豊穣な花咲く平原。
       それから…それから…ああ、シモン、そこには一輪の花があります。孤独に生き、自分の神と子供のために清らかさと愛の香りを放ち、生きている! 母が。シモン、おまえが母を知ったら、この世で、その愛くるしさで母に似ている人がいると思いますか。いはしないのが分かります。母は美しい。でも、その心、内面からの派出とは比べものにならない。この世は、私にすべての悪をもたらしますが、私はこの世のすべてをゆるします。なぜなら、この世に来て、この世を贖うために、この世の大いなる謙遜な元后をもらったからです。この世は母を知らないけれど、母によってすべての恵みをもらい、なおさら未来はそうなります。
       早、神殿に着きました。ここではユダヤ人の宗教の形式的な様式を守ります。しかし、まことに言うが、神の真の家、聖櫃は母の心です。その清い肉体がベールとなり、そこにすべての徳が刺繍のように飾られています。」
       神殿に入って、第一段を上り、一本の廊下をまた歩いて第二段を上ろうとしたとき、
      「先生、群衆の中、あそこにユダがいます。ごらんください」と、シモンが呼び止める。
      「ファリサイ人と衆議会の人々もいるが、何をしゃべっているか聞きに行ってもよろしいですか」
      「はい、よろしい」
      「大廊下のそばでお待ちしています」
       シモンは足早に去り、聞き取れる所まで進み、姿を隠せるように群衆の間に紛れ込む。ユダは大きな信念を持って話している。
      「ここに、皆さんがよく知っており、かつ尊敬している人々がおられます。私がどんな者であったか証できる人々です。それで私は、イエズスが私の心を変えたと言えます。最初にイエズスに贖われた者は私です。あなた方のうち、多くの人は洗者ヨハネを尊敬しているが、ヨハネはイエズスを”神の小羊”と呼び、エリアに勝る人だと言っています。洗者が天からの声”これは私が嘉する子です”と言ったとすれば、イエズスがメシアであるのは間違いない。イエズスはそうだと、誓って言える。私は学問のない者ではなく、また愚かでもない。あの人こそキリスト・メシアである。私はそお御業を見、そのことばを聞いて、はっきりそう言えます。メシアはあの人です。奇跡の主人で、いろいろな病気や不幸はイエズスの声を聞いて、死んだかのように落ち、その代わりに喜びと健康が与えられます。なおさら、心は体よりも変わります。私を見ても分かると思いますが、治してもらいたい病人などがあったら、明朝、暁のときに魚門のところへ連れて来なさい。そこにイエズスがいて、あなた方を幸せにします。その間、私はその御名で、貧乏人のために、わずかな金を与えます。」
       ユダは二人の足なえと三人の盲人と一人の老婆に施しを与えると群衆にいとまを告げ、アリマタヤのヨゼフとニコデモと、私の知らない他の三人と一緒に残る。(1)
      「ああ、何と気持ちがいいんだろう」とユダが叫ぶ。
      「いまは何も持っていません。あの人が望むような人となりました」
      「本当にあなたが分からなくなった。冗談だと思っていたが、あなたが真剣にやっているのが分かった」とヨゼフが言う。
      「真剣ですとも。だれよりも自分自身が分からなくなったのは私です。あの人に比べると、私は不浄な野獣にすぎない。しかし、相当変わりました。」
      「それなら、もう神殿に属さないと決めたのですか」と、私の知らない三人のうちの一人が問いかける。
      「もう私はキリストのものです。あの人に近づく人は毒蛇でない限り、あの人を愛さずにはいられない」
      「あの人はもう、ここには来ないのですか」
      「いいえ、来ますよ。だが後で、いまではない」
      「私はあの人の話を聞きたい」
      「ニコデモ、以前にここで話したことがありますよ」
      「知っている。私はガマリエルと一緒にいて、あの人を見たけれども立ち止まらなかった」
      「ニコデモ、ガマリエルは何と言ったのですか」
      「だれか新しい預言者だと言った。それだけ」
      「ヨゼフ、あなたは私が知らせたことを言わなかったのですか。あなたはガマリエルの友人ではありませんか」
      「伝えたけれど、答えはこうでした。『もう私たちには洗者がいるが、律法学士たちのことばによると、先駆者と王の到来に民衆が準備するために、少なくとも百年かける必要があると言われている。しかし、時はもう完成されているので、それほどはかからないと思うが』と言い返し、続けてこう結びました。
      『しかし、私はこのようにしてメシアが現れるのを認められない』と。また、
      『いつかの日、あの人のことばを聞いて、天の稲妻(2)と思い、メシア時代が始まったと思ったが…それから長い沈黙が続いたので、私は間違ったのではないかと考えている』とも言いました」
      「もう一度、話してみなさい。もしガマリエルが私たちの側に立ち、また、おまえたちもそうすれば…」
      「ああ、そんなことは勧めたくない」と、見知らぬ三人のうちの一人が口をはさむ。
      「衆議会の力は強大で、アンナが奸智と貪欲をもって衆議会を思うように動かしています。あなたのメシアが生き残りたいならば、そのまま隠れているようお勧めする。もしも力で干渉しないならば。しかし、あの場合はローマがいる…」
      「衆議会でもあの人の話を聞けば、回心するはずです」
      「ハッハッハ」と、三人の見知らぬ人たちは笑って言う。
      「ユダ、あなたが変わったとは思っていたが、まだ頭だけはちゃんとしていると思っていた。あなたがイエズスについて言っていることが本当だったら、衆議会があの人についていくと、どうして考えられるか。
       ヨゼフ、さあ、おいで、これは皆にとってよかろう。ユダ、神があなたを保護しますように。あなたには本当にその必要がある」
       そして、皆、行ってしまう。ユダはニコデモと一緒にそこに残る。
       シモンはこっそりその場を離れ、イエズスのもとに戻って来て、
      「先生、ことばと心をもってざん言の罪を犯したと告白します。あの人のことをどう考えてよいやら分からない。あなたの敵とさえ思っていたのに、私たちの中でも良くあなたについて話、それほどまでにする人はいない。とりわけ、まず弟子、それから先生を亡き者にしようとする憎しみが盛んである、ここで貧乏人に金を配ったり、衆議会員たちにも話しかけるのを見た…」
      「シモン、おまえがちょうどその時にユダの話を聞いてうれしい。いろいろ非難を受けるとき、他の弟子たちにもその話をしてもよろしい。”私は罪を犯した”という、おまえの正直さは、私が受けた喜びと、悪人と思っていたのにそうではない、と考えた弟子のために、主に感謝しています」
       二人は長く祈ってから、神殿を後にする。
      「ユダはおまえを見ませんでしたか」
      「いいえ、絶対に」
      「では、ユダには何も言わないで。あの人はひどい病気の霊魂ですが、ほめことばが、回復にむかう病人に与えられる食べ物のようなものです。あの人は、注目されたと知ると、さらに悪くなります。また、傲慢が働くときはろくなことはない」
      「では、黙っています。これからどこへ行くのですか」
      「ヨハネのところへ。この暑い盛りのときは、橄攬山の家にいるはずです」
       二人は猛烈な太陽に灼きつくされそうな道を歩きながら、日陰を探しながら、まぶしい田園地帯とオリーブ園地帯を抜けてゲッセマニにたどり着く。
       扉のところにカーテンがあり、暗くて涼しい台所の隅でヨハネが、うつらうつらしている。イエズスが呼ぶと、
      「ああ、先生。夕方、おいでになるとばかり思っていました」と驚く。
      「ヨハネ、きょうはどうでしたか」
      「私は牧者を失った小羊のようでしたが、皆にあなたのことを話していました。あなたについて話すだけでも、何だかあなたと一緒にいるような感じがするから。親戚や知り合いやよその人たちに、たくさん、あなたのことを話しました。また、足なえに施しをし、ある門の前で他の女たちと一緒に話をしていた私の母と同じくらいの年ごろのああわれな女に『なぜ泣いているのですか』と聞くと、その女は、『お医者様に”あなたの娘さんは肺病で、もう手遅れです。十月の最初の夕立のころに亡くなります”と宣告されました。私にはその娘しかありません。まだ十五歳の美しい良い娘です』と答えました。私はその母に『信仰さえあれば、娘さんを治せる医者を知っています』と言いましたが、『もうだれも娘は治せません。三人もの医者に娘を診てもらったけれど、もう喀血までしているのです』
       でも、私は説得しました。『私の言う医者は、他の医者とは違います。薬で治療するのはなく、自分の力で治します。その人はメシアです』すると、一人の老婆が『おおエリーザ、信じなさい。その人のおかげで見えるようになった盲人を知っています』と勧めたので、母親は『気を落とさずに、信頼してあなたを待っています…』と言っていました。
       これでよかったですか。こうしかできませんでした。」
      「よかったとも。今晩、おまえの友人たちのところへ行きます。それから、ユダに会いましたか」
      「いえ、会っていません。でも、私に食べ物と金を送ってきたので、それを貧乏人に配りました。それに、自分の金だから使ってもよいと言ってくれました」
      「そうですね。ヨハネ、明日ガリラヤの方へ行きましょう」
      「ええっ? うれしい。シモン・ペトロのことを考えています。どれほど喜ぶか分かりません。ナザレトにも、夜、立ち寄るのですか」
      「そう。ペトロとアンドレア、おまえの兄のヤコボを、そこで待つつもりです」
      「では、私たちはガリラヤに残るのですか」
      「少しの間」

      (1)衆議会員かそれともファリサイ人らしい。
      (2)ガマリエルは、少年イエズスに神殿で出会ったときのことを暗示している。 

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